報酬形態 | 街の不動産屋体験記
街の不動産屋さんの主な収益源は土地、建物について
1.売り物件業務
2.賃貸物件業務
の二つです。
それぞれに売主さんの側に立つのが「元付業者」と称し、また買主の側に立つのが「客付業者」と呼んでいます。
この両業者に関して報酬形態が区分されます。
宅建業界でこの形態は以下のようになりますね。。
1.1 分かれ
文字通り元付業者と客付け業者の得る報酬が引き分けすなわち同じのケースです。
取引成立と物件引渡しが終わると、
・元付け業者は、売主より物件価額の3%+6万円を受領する。
・客付け業者は、買主より物件価額の3%+6万円を受領する。
この形態(パターン)を分かれといいます。
売主が売り依頼した元付け業者と、買主さんにこの物件を紹介した客付け業者さんが
それぞれ報酬を得るようになっています。
この形態が基本の物件仲介のパターンですね。
報酬額は例えば3000万のマンションのケースなら元付け業者は売主から3%+6万円、
96万円をいただきます。
また客付け業者は買主から同上の報酬を得ます。
これは法律で許された最大限度の報酬額で、
これ以上の報酬を売るのは国交省管轄の宅建業法違反となります。
したがってこの報酬額を業者と顧客間で交渉して決めるのが、
法的精神で期待されている取引です。
現実には業者は売買契約書に最大報酬額を記載したもので提示することが多いようで
消費者にとっては不利な取引と言えますね。
最近の先進的なコンプライアンスを守る企業では
①報酬は30%引きにしていますとかの自由競争サービス(WILL不動産社など)
②買主側(消費者側)かどちらか側にのみ立つサービス(SONY不動産社など)
③売主と買主という利益が対立する両者のサービスはできない。(USAの業界など)
利益相反型といわれ、犯人と被害者双方の弁護をやるようなものではないのでしょうか。
売主側と買主側は完全な別企業にするなどして避けてほしいものです。
後述しますが、このような両者から報酬を得る形態を
業界では「両手」と言って、これを目指しています。
営利企業としては、法的にも問題ないし当然ですが、社会通念上はおかしいとされてもふしぎはないです。
これは先ほどの300万円の物件だと、両手ならそれぞれ最大96万円もらうと192万にもなっているのです。
ことばがきついかも知れませんが「濡れ手に粟」状態ですよね。
1.2 「両手」
宅地建物取引業協会などの資料では、とくに「両手」は定義されていません。
これは当たり前のことなので記載していないのか、または批判の種になってはということなのでしょうか。
最近ではSONY不動産などが両手取引はしないことを詠っていますね。
ソニー不動産が仕掛ける新常識 仲介手数料も「かかった分だけ」
厳格な公平性を追求し、必要な情報はすべてオープンに。
両手取引を行わない「不動産取引が分かりづらい理由として“情報の非対称性”があると言われています。
お客さんは、不動産を売ったり買ったりするのは一生に1回…あっ ても数回です。
おのずと業者の持っている知識や情報と、顧客の情報量にギャップが存在します。
そのため、どうしても、業者側の業績や利益に寄った取引が行 われがちです」と
風戸さんは指摘する。
ソニー不動産では顧客の利益を優先するために、
(1)過去の取引事例など顧客の判断に役立つ情報をすべてオープンにすること、
(2)「両手取引」を行わないことをポリシーとしている。(1)は、通常は不動産業者しか知ることができない過去の成約事例などのデータベースを
開示するもの。例えば、ある地域のマンションの取引事例が過去30件あったとしたら、
業者に都合のよい事例10件だけを見せるのではなく、すべて開示するなどだ。(2)の「両手取引」というのは、売主・買主両方に対して、
同一の不動産会社がお手伝いすることをいう。
一方「片手取引」とは、売主あるいは買主の 片方に不動産会社が専属的に付く取引をいう。
不動産先進国といわれる米国などでは、片手取引が標準となっている。片手取引では、
売主あるいは、買主の利益 を最大に考えて担当者(ソニー不動産ではエージェントと呼ぶ)
が交渉を進めることができるため公平性が担保されるのだという。(引用はここまで)
1.3 「当方払わない」
元付け業者が売主である場合、たとえばデベロッパーや建売業者などのケースですね。
客付け業者が買主より3%+6万円以内を報酬として得る場合です。
1.4 「当方片手負担」
元付け業者が売主である場合です。
元付け業者が負担して客付け業者に3%+6万円以内を払います。
したがって客付け業者は元付け業者と買主のそれぞれから3%+6万円の両手相当を報酬として得られます。
1.5 「代理負担折半」
元付け業者が代理契約である場合が考えられます。
元付け業者は、売主より6%+12万円以内を受領し、そのうち客付け業者に3%+6万円以内を払う形態です。
この場合はもちろん客付け業者は買主より報酬できないこととなります。
当然ですが、この取引形態は元付け業者側があらかじめ決めることになります。
2.賃貸物件(つづく)