先週の水曜日は、前回紹介したR研究所I氏の送別会が所内のクラブで催された。
その翌日の12日は、次女の専門学校への入学式があった。
目黒雅叙園での入学式を終えた後、デザイナーのR・Aさんが東高円寺のギャラリーで開いている企画展に家族と出かけた。
このR・Aさんは、「当見聞録:2000年3月3日(金曜日)UooPSポスター広告と女性フォトクリエーター」で紹介したデザイナーである。
R・Aさんの簡単な説明をまず聞いた後、地下一階の真っ暗なギャラリーの壁をつたって歩くのだが、目と低周波の音に耳が慣れるまで15分くらい、暗闇の中でカミさんと次女の3人でじっと佇んだ。
耳に聞こえるのは、Ghoooonnn!という低周波と、部屋の隅に置かれた「硫酸ナトリウムの結晶が出す透明な光」だけの世界である。
最初は、そのオブジェまでの距離感がまったくなく、意識の中では、2、3メートルのつもりなのだが、「作品を踏まないようにして下さい」というR・Aさんの言っていたことを思いだし、3人で確認しながら一歩一歩近づいて行った。
そのブラックホールから出てきた我々に、「どうでしたか?」というR・Aさんの質問。
カミさんも次女もなんと答えていいか戸惑っていたようだ。
私は「原始の地球、いや宇宙に放り出されたら、こんな感じなのかな―」なんていうコメントをしたようだ。
あの数メータ四方の真っ暗な部屋の隅で光る硫酸ナトリウムは、数光年先の宇宙にある得体の知れない未確認物体なのだ。
このR・Aさんの担当した作品は「エピソード1」と呼び、3組み4人の表現者によって『それぞれのテーマが展開されていく』そうだ。
以下に、R・Aさんからのメールを紹介しておく。
伊賀 忍さま
ようやく展覧会の1クルーが終わり
一区切りがつこうとしています。
御家族でお出で頂いて本当にありがとうございました。
あれが、ここ10年らいずっと続けている活動です。
デザインはいわば生活の糧ですが、あれは私の生きる糧です。
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この個展の後、夕刻に永楽倶楽部でネクチャードットコムの鈴木社長とお会いし、福島勇三さんにカミさんと次女のコクテルを作って頂いた。
永楽倶楽部と福島勇三さんについては、「当見聞録:2000年2月18日(金曜日)マイスター福島勇三さんと女性バーテンダー」で紹介した。
カミさんは「ジョンコーリンズ」、次女は「ギムレットソーダ+チェリージュース」であった。
ようやく、4月21日の本題に入る。
アーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」(デジタルリミックスバージョン)が「ル・テアトル銀座」で上映されているので、夫婦で見に行った。
この映画の鑑賞券を入手するために、テアトル東京のM氏には本当にお世話になった。
この映画が最初に上映されたのは、人類が始めて月面に降りた前年、1968年だったそうだ。
リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れ…、思わず、そうだ!その数年後、富山県民会館のコンサートで我々のバンド(The
G)も、この「ツァラトゥストラはかく語りき」を最初に流しながら幕を上げ、グランドファンクレイルロードの「Are
you ready!」を熱演したものだ。
その時代に生きた若者が、この映画を見て「宇宙船ディスカバリー号のレプリカ」を作ったというステキな話を聞いた。
映画館の会場入り口に飾ってあった、オガワモデリングの社長が作ったという模型がそれである。
すばらしい作品であった。
慶応大学の学生であった小川さんは、この映画を見てディスカバリー号のレプリカモデルを作り、現在は「ビジュアルイメージ」のデザイン会社であるオガワモデリングを経営されている。
前述のR・Aさんといい、小川さんといい、自分の糧を大事に育みながら「いい仕事」をしていらっしゃる。
なんと、幸せな人たちであろうか。
(つづく)