■ 2002年11月9日(土)

 プロジェクトマネージメント試食会


Quote…Unquote: You can either take action, or you can hang back and hope for miracle. Miracle are great, but they are so predictable. -Peter F. Drucker (U.S. management consultant and author 1909-)

 行動に出ることもできるし、しり込みをして奇跡を願うこともできよう。奇跡はすばらしいが、いつ起こるかまったくわからない。


 F氏が主催する「プロジェクトマネージメント」の講習会に参加した。
 F氏の友人であるインフォマージュ川瀬社長の好意により、インフォマージュ社の会議室での講義となり午前十時から夕方までみっちりと「SPM手法」を学ぶことができた。
 F氏との出合いは1992年頃の日本DECにさかのぼる。
 彼は日本DECのネットワークビジネスセンターに所属していて、私が担当していたDEC SS7(Signalling System Seven)の開発プロジェクトにマーケティング的な立場で参加していらっしゃった記憶がある。
 SS7とは、当時のCCITT(国際電信電話諮問委員会、現在はITU)勧告によって作られた通信業者の保有する交換機どおしを結ぶコンピュータ(正確にはSCP:Service Control Point)間のプロトコルの名称である。

 日本の通信業界はそのような世界規格のプロトコルを日本の独自市場に合わせた規格にしているため、どうしても国際規格で作られた製品を手直ししなくてはならない。
 そのため、DEC SS7のエンジニアリング部隊がいたフランスのバルボンヌと日本の開発チームで電話会議を何度かやったものだ。
 ちなみにDEC SS7のマーケティングはニューヨークにいたが、日本のローカルな仕様についてはほとんど関心がなかった。
 当時、F氏はMacのノートブックを持参してきていて会議が終わるとその備忘録(英語なのだが)をその日中にメールで送付してくれた。
 なんとすごい人がいるものだと感心したものだ。

 F氏は英語力と持ち前の企業家精神を発揮して会社を創立し、アイルランドのダブリンにあるETP社に出かけていって、SPM(Structured Project Management)の講師の資格を取ってこられた。

 今日は、これから日本の企業でそのSPMを実践していくための「試食会」なのである。

 ETP社のSPMはPMBOK(Project Management Body of Knowledge、ピンボックと呼ぶ) と共通のBodyを持っているが、ヨーロッパ的な雰囲気を持った何とも言えない味がある。
 ETP社の社名自体が゛Eyes on The Prize"のAcronymであり、プロジェクトのかなたにある「プライズ」に向かってメンバーが一致団結し協力し合うことをイメージしている。
 そのプロジェクトを成し遂げたときの光景(野球で言えば日本一になったときの優勝祝賀パーティーでビールをぶっかけ合う瞬間)を思い描きながらプロジェクトを粛々と進めていくのである。
 F氏には、S電工やMS社からの依頼があり、これからこのSPMのワークショップを日本のRep.として実施していくとのこと。
 日本にも本格的なプロジェクトマネージメントの時代がきたようだ。

 初めてプロジェクトマネージメントを勉強される方々への私の推薦本は「よくわかるプロジェクトマネージメント、西村克巳著(日本実業出版社)」である。
 西村氏によれば、プロジェクトマネージメントの世界は、1970年〜80年代はプラントエンジニアリング(建設関係)が主流であったが、その後、物作りからシステムを構築するという"ITプロジェクト"のマネージメントに発展して、最近では新規事業創出等、経営戦略の観点からプロジェクトマネージメントの手法を取り入れるという企業が欧米で増えてきているとのことである。
 JPMA(日本プロジェクトマネージメント協会)がいまだにプラントエンジニアリングや建設会社の幹事で構成されているのに比較して、米国やヨーロッパの協会ではIT系だけではなく金融や保険会社が参加しているという話を法政大学の「プロジェクトマネージメント講座」で聞いた。
 なぜなら、金融機関のM&A等の企業統合にプロジェクトマネージメントの手法が不可欠であるとの認識なのだ。

 Mグループなど、日本の金融機関の企業統合において「プロジェクトマネージメント」の手法をきちんと導入して実施していれば、あの混乱は回避できたのではなかろうか。>BR>

(つづく)

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