昨晩は夜半過ぎから雨になった。
サンライズエージェンシー代表の牧野さんの車で関越・北陸自動車道と交代で運転してきたのが昨日の朝だった。牧野さんは、徹夜に近い仕事を終えて仕事先の川崎から川越まで迎えに来てくれたわけで、相当にお疲れだっただろう。
宵山と呼ばれる午後七時半の山車のけんか(地元では「かっちゃ」という)を見てから、下町の親戚に上がりこんで平目の昆布〆のおさしみに舌鼓を打ちながら、祭りの宴会を楽しんだ。
その後、牧野さんを伏木駅まで見送ってから自宅までの道を20分ほど歩いたが、道の両側の風景は30年前とほとんど変わっていない。
所々に電灯があるが、夜の闇にその老いた町並みのくすんだ色や痛んだ外壁は隠されている。
昼の町並みが夜は少し生き返ったように思えるのは、祭りの興奮と周りの暗い闇にあるようだ。
家に帰ると老いた母がお茶を煎れてくれて、私がお土産に持ってきた川越のお菓子を一緒に食べた。父はダンスのレッスン日で十一時半過ぎの帰宅になるらしい。
川越からの車の運転の疲れも出たのか、父が帰る前に寝入ってしまった。
雨の音だけがポツリポツリと意識の中に残った。
今朝は父が雨の中を牧野さんの宿泊する高岡マンテンホテルまで車で送ってくれた。
途中、祖父母の墓参りをする。
富山市岩瀬にあるコモン天下堂では、K氏がストーブに薪を焚きながら、いつものように「ようきたねー」と笑顔で迎えてくれた。
K氏は先代から引き継いだ天下堂の本店は富山市総曲輪(そうがわ)通りにあった。
私が昨年3月に帰省した時は、この総曲輪通りのお店でお会いした。
おりしもノーベル化学賞を受賞された田中耕一さんが富山市の出身ということもあり、富山全日空ホテルでの祝賀パーティのお話をK氏からお聞きすることができた。
そのパーティの実行委員の皆さんが田中耕一さんにパーティの席上で何を贈ろうかと相談した時に「それはK君に任せればいいだろう」ということになり、K氏がお祝いの品物を用意することになったそうである。
そのパーティで田中耕一さんに贈られた品物とは、エスカイヤーのバッグだった。
日本の武士もそうだったが、昔、馬に乗った武士(西欧では騎士)は隊長であり、戦士であった。
その騎士にとって、馬を乗りこなすための馬具はとりわけ貴重な道具である。
その馬具の歴史とエスカイヤーは切っても切れない関係があるという。
このテーマだけでも書ききれないほどのエピソードになることだろう。
いつかK氏のエッセーでこのあたりは紹介したい。
このK氏のお店「天下堂洋品店」で扱う品物は、エスカイヤーや北欧のしっかりした製品だけとは限らない、K氏が選んだ生地で一本づつ富山の職人が作るネクタイがある。
このネクタイは私の愛用品でもあるので、ここで紹介したい。
ネクタイを締めるとき、皆さんはどんな気持ちでネクタイを締めるだろうか?
あー、これから仕事だ、なんとなく憂鬱だ。
さー、これから仕事だ、頑張らなくちゃ。
うーん、昨晩は飲みすぎたな、今日はきついぞ。
私はいつも、朝の散歩から帰ってシャワーを浴びた後、今日お会いする人を頭に描きながらスーツとワイシャツを用意し、最後にネクタイを2本取り出してから、妻か娘に「どちらがいい?」と聞くことにしている。
そー、ネクタイは家族のコミュニケーションの道具なのだ。
帰りが遅い日は家族が寝静まっていることもあり、朝のその会話だけがお互いの元気の確認であることも多い。
「今日は天下堂なのね」と家族に言われる場合は、結構重要な打合せの日が多い。
<ここからは宣伝となります>
天下堂洋品店で販売している「Esquireの鞄」については、こちらのエッセー(pdf,9KB)をお読み下さい。
また「こだわりのネクタイ」は生地からお選び頂けます。
前述の牧野さんも買い求めて、お気に入りとのこと、近日中に牧野さんの会社のホームページ(https://www.sunrise-ag.com)にてご注文方法をご案内する予定です。
ちなみに写真のネクタイは当方のもので、一本8,000円台で入手したものです。
(つづく)
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