■ 2008年6月30日(月)

 青天霹靂と一厘紫陽花


 大学を卒業後N社に就職されてから36年、情報システム一筋に尽くされたN氏の退職日である。晴天の霹靂というタイトルのメールを頂いてから4ヶ月、「太く、短く、潔く」をモットーに、N氏の職掌される小粒な組織は、まさに駆逐艦であり、その船長であるN氏に下船命令が出て、商品部門に異動となってからというもの、苦悩の日々を過ごされたと思う。
 私は、前職のコンサルティングにてN氏の前任であったO部長の代から大変長い間お世話になった。4百年以上の老舗として、N社はその業界ではナンバー1ではあるものの、商品の差別化が難しく、生活のスタイルが変化する中でのコモディティ化による価格競争と、消費の減少には、対抗策がなくなってきている。
 そこに現代日本の縮図がある。

 KITの授業で研究した軽井沢の星野旅館や、松下電器、日産、トーハトといった企業のチェンジマネージメントの成功事例はあるものの、@危機意識を高め→A変革推進チームを作り→B適切なビジョンを策定し→C変革のビジョンを周知徹底する→D従業員の自発的な行動を促し→E短期的な成果を生み→Fさらに変化を進め→G変化を根付かせる、というジョン・コッターの企業変革ノートにあるような変化を起こし、成功へと導けれる経営者は一握りであり、なかなか一筋縄ではいかないものなのだろう。

 私の方の職場もチェンジマネージメントの真っ最中である。
 今週末には赤坂から豊洲への本社の移転があり、個人的にも14年通った永田町を後にすることになる。
 今朝は麹町駅で下車し、紀尾井町ビルの裏からニュー大谷の真向かいに降りる清水谷公園の中を通って会社に向かった。鬱蒼とした木々の間に一厘の紫陽花が・・・、それもすっきりとした青色である。
 昨年11月ころは暖かい日が続き暖冬だったため、ゆっくりと休養できなかった翌年の紫陽花は不作といわれている。そのような環境のなかで、この一厘の紫陽花に今日出会えたことは、嬉しいかぎりである。
 「太く、短く、潔く」がモットーであるというN氏にこの一厘の紫陽花を送りたい。

 (つづく)

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