■ 2002年01月11日(金)

 福島勇三さんのインタビュー(その1)


Quote…Unquote: Some people are born mediocre, some people achieve mediocrity, and some people have mediocrity thrust upon them. -Joseph Heller (Catch-22 Writer, 1923-99)

Quote…Unquote: But be not afraid of greatness: some men are born great, some achieve greatness, and some have greatness thrust upon them. -William Shakespeare (Writer, 1564-1616)
http://www-tech.mit.edu/Shakespeare/twelfth_night/twelfth_night.2.5.html)

Quote…Unquote: Some are born great, some achieve greatness, and some hire public relations officers. -Daniel J. Boorstin (1914-) Live out of your imagination, not your history. -Stephen Covey (U.S. Consultant, 1932-)

 1月2日(水)10:30、祖母、久野、85歳、永眠。
 3日にお通夜、4日の葬儀を済ませて、5日は瑞龍寺に伺い、お世話になった住職さんにお礼を述べて、高岡駅から帰省客で一杯の列車を乗り継いで川越に帰ってきた。
 いつかは来ると覚悟はしていても、身内の突然の死はたいそう堪えるものだ。

 今日は、昨年からお願いしていたNaoko-sanによる福島勇三さんのインタビューがあり、この見聞録の「2000年2月18日(金曜日)マイスター福島勇三さんと女性バーテンダー」で紹介した永楽倶楽部にお邪魔した。

 ここからはNaoko-sanのインタビュー記事を掲載させて頂く。

 永楽倶楽部の福島さんにお会いした。
 私の福島さんの予備知識といえば、プロフェッショナルなバーテンダーであること、そしてその最高位の「マイスター」の称号を持つ方である、ということぐらいだった。
 そんな方にインタビューをさせて頂くということになり、正直何をお聞きしたものかちょっと戸惑ってはいたのである。
 私にはあまりに深遠な世界であり、無粋な質問をしてしまうのではないかと、そのスノッブな世界に自分のような人間が立ち入るのは荷が重かったのである。
 あのような格式高い職場において一流であり続けた方に対しては、お酒の薀蓄であるとか嗜み方といったお話に終始するべきで、ご自身の生い立ちだのといったことを伺うのはなんだかとっても気が引けたのである。

 が、私の第一問は、「この道に入るきっかけをお聞かせください」というものだった。。。
 "ああ、つまらない質問"と自分に落胆。

  そこへ進駐軍スタイルだという、タンブラーほどの量に並々と注がれたギムレットがサーブされ、それと共に福島さんは勿体ぶったところもまるでなく、楽しげに話し出してくださった。
  後で知ったことだが、福島さんには「SMILEY」(スマイリー)というあだ名があるほどその笑顔が素敵な方なのだ。

 「進駐軍スタイル」というキーワード通り、福島さんのバーテンダーとしてのキャリアは戦争とは切っても切れないところから始まった。
 とはいってもこれは戦争のもたらした偶然と混乱に大きく弄ばれた結果であり、ご自身は最初からバーテンダーなる職業を目指していたのではないと仰る。
 意外だった。
 なんとなくバーテンダーという職業、自ら強く志したものだけが極められるという思い込みがあったのだ。

 若き福島さんは、職業軍人を目指す飛行機整備士だった。
 終戦に伴い仕事を失って田舎に帰ると、近くのジョンソン空軍基地(現入間基地)で墜落機のスクラップ作業要員の募集をしているとの噂が流れた。
 40分かけて自転車で基地に向かったものの、スクラップ要員の話はデマ。
 しかし、そこでは別のランドリー係の仕事を斡旋された福島さん、田舎でお祭りがあるため3日後に出勤してみると予想だにしていなかったことが待ち受けていたのだった。。。

 インタビューの後半、おまかせで作ってくださったカクテルは日本酒にウオッカを加えた「Saketini」であった。
 全体として辛口な中にも柔らかいコクのある、そして強いお酒であった。。。
 考えてみればたっぷりのギムレットのあとにこれを飲める人間である、と見抜いておられた福島さんの眼力は相当のものであった。
 うーん。参りました。(_\_;;

 今回のCocktail
 ・Gimlet(進駐軍スタイル)
 ・Saketini

 今回のImage Music
 ・バーテンダー界の巨人、福島さんに敬意を表して、かつ、Saketiniのトリッキーな酔い心地にジョン・コルトレーンの "Giant Steps"

(つづく)

-P.34-

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