難波美術道具店(本郷)と居合刀
Quote…Unquote: The ability to deal with people is as purchasable a commodity as sugar or coffee. And I will pay more for that ability than for any other under the sun. -John D. Rockefeller (U.S. industrialist and philanthropist, 1839-1937) 人間関係を保つ能力は、砂糖やコーヒーと同じように購入可能な物資である。この世の中の他のどんなものよりも、その能力に私はお金を使うだろう。
人間関係を保つ能力は、砂糖やコーヒーと同じように購入可能な物資である。この世の中の他のどんなものよりも、その能力に私はお金を使うだろう。
居合道に使う模擬刀を引っ下げて午後のサポート先であるR研究所に向かった。R研究所のサポートが終わってからこの模擬刀をK氏に見てもらう予定だ。 この模擬刀は本郷三丁目にある難波美術道具店のご主人に薦められたものだ。かねてから取り置きをお願いしてあり、今日時間の余裕ができたのでようやく残金を支払って品物を受け取ってきた。 私は物を手に入れるプロセスを楽しむタイプの人間である。 そして、その物との出合いには必ず人が介在し、その人から物を買う。 いわば、その人が伝えてくれる情報によってそういった物を買う。 前述のR研究所のK氏に誘われて、小川町武道館で行われている居合道の練習を見学したのは2月であった。 あれから半年かけて準備をしてきたことになる。 2〜3月のこずかいを節約して朝霞にある野村武具店で練習着をまず購入した。 野村武具店で扱っている刀剣のカタログを見る限り、初心者向きの模擬刀でも最低5万円くらい、ちょっといいなと思うものになると7万円から10万円である。 テニスのラケットは一本2万円台で買える。 需要と供給のバランスで物の値段が決まることから考えると「居合道」の人口はテニス人口の1/3や1/4の比ではないので、高いのは仕方がないのは分かるがこのデフレの世の中である。 どこかに掘り出し物があってもよさそうなものだ。 そうこうしているうちに、7月のある日、本郷三丁目近くにあるI氏のオフィスを訪問した帰り道にこの居合刀と出合うことになった。 I氏は松戸に薬局を持っていらっしゃる。 本郷のオフィスはインターネットでの注文と漢方薬に関する相談を受け付けるためのコールセンターなのである。 I氏言わく「ここでの私の仕事は漢方薬のe−コンサルタント」なのだそうだ。 このI氏については第35話「2002年2月22日(金)号、「自助努力」の選択 (その後)」でも紹介したが、昔は日本NCRの腕利き営業マンであった。 このI氏のオフィスと本郷三丁目までの間に難波美術道具店がある。 足を止めて店先に飾ってあった大小一対の模擬刀を見ていたときである。 中にいたご主人から「中にいいのがありますよ」と声をかけられ、古美術品がところせましところがっているうす暗い店の中に入っていった。 「外にあるのはあれは練習では使い物にはなりませんよ。これなんかどうです」とご主人が古いランプや絵皿をどかしながら見せてくれたのがこの模擬刀だった。 値段もテニスラケットの2本分以下、10分位ご主人と話をした結果「きりのいい値段にしてあげるよ」とのことで交渉が成立した。 これでようやく来月から小川町の練習会に参加することになる。 (つづく)
(つづく)
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