第4回 : ITリソースとスキル(2/2)
2001年4月吉日
Quote: "The college worker of today is
the knowledge worker of tomorrow." STEVEN P. JOBS (Founder and Chairman
of Next, Inc., Palo Alto, California in 1995.)
前回は、企業情報システムにおける「ITリソースとスキル」をモデル化して、ITの「基本的なスキル」と「業務的なスキル」について解説した。そして、物としてのIT資産(ITのインフラ部分)を整理するためのドキュメントも添付した。
今回は、ITスキルをテーマにもう少し掘り下げてみたい。
コンサルティング先の企業から「情報システム部門の方々のITスキルを調査して欲しい」という依頼を受けることがある。
図1:it-skill
(pdf,7KB)は、そのようなリクエストを想定した資料「企業情報システム構築に必要なスキル」調査表である。
この資料中の大分類は、以下の3つの項目に分けてある。
1)業務知識・経験
2)IT実装に必要なスキル
3)ITスキル
上記1)の業務知識・経験については、その組織のビジネス要件を理解するために必要なスキルである。
当然のことだが、その組織の歴史や風土、業界・規模、顧客および取引先との様々な関係等を理解していることが重要であり、そのようなスキルはIT部門の担当者よりも営業やサービス、および購買部門等の取引先と直接業務を行っている方々の方が、このスキルは上である。
しかしながら、これらの方々には「ITという技術面でのバックグランド」を持った人は少ない。
IT部門の担当者としては、この人達と良好なコミュニケーションをとりながら、その組織のビジネス要件を理解することが大事であり、そのビジネス要件をITというツールで実現することがミッションとなる。
この1)をきちんと整理できれば、あとの2)、3)については前回のコラムでも紹介した「ITリソースとスキル」(pdf,14KB)にあるような自分達の専門分野である。
上記の資料の2ページ目の最後に性格(本人)、および性格(上司評価)とあるところに注意して頂きたい。
ITが「社員の生産性を高めて、ビジネスをより効果的、効率的に行っていくためのツール」であることから、ITの固有技術や管理技術があるだけでは、その目的は達成されないのである。
人と人との共同作業によって日常の業務が行われる組織においては、人と人との円滑なコミュニケーションが必須となる。
そのためには、お互いの「性格」をある程度理解しながら、お互いを尊重し合い、切磋琢磨していく個々の精神が大事であると、私は考える。
そのお互いのコミュニケーションの根底に「性格」という二文字が大きな意味を持つのである。
話は少し飛ぶが、右下の写真を見て頂きたい。
私は、学校を卒業後、友人と共同経営によるソフトウェア会社を創立して15年間、その会社の代表を務め、代表を辞任後、日本DECの製品開発本部で5年間勤務した。
一言で言えば、ソフトハウスの受注型のビジネスと、コンピュータメーカの仕込み型のビジネスを経験した上で、現在のコンサルティング会社に勤務している。
自慢ではないが、このIT業界でそれなりの経験を持っているつもりであるが、現在勤務する会社の社長ほど、この写真にある「パワー」と「能力」と「容姿」の三拍子を兼ね備えた人間に会ったことがない。
そして、このコンサルティング会社のモットーは、ITスキル、性格に加えて仕事を達成していく「ガッツ=根性」が大事であるということである。この「根性」という二文字もプロジェクト遂行には大きな意味を持つ。
今回は、紙面の関係もあり、前号でお約束していた「システム(ネットワーク)管理ツール」の紹介は次号にさせて頂きたい。
最後に、4月6日に講師をした危機管理対策機構の「IT&セキュリティ・セミナー」(https://www.cmpo.org/)の内容について少し触れておきたい。
このセミナーは、以下のようなタイトルと概要を案内して実施した。
・セミナータイトル
「ビジネス」を進化させるためのITとセキュリティ
・セミナー概要
国を上げてのIT(情報通信技術)革命が進行しているという。
我々は、その意味を的確に理解し、取り組んでいるだろうか?
The
business of America is
business.
(アメリカの本務はビジネスだ!)
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Calvin Coolidge (30th U.S. President,
1872-1933)
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に代表される「彼らのビジネス」に対抗すべき我々の戦略、戦術、業務遂行について考える!
次回は、このセミナーの内容も含めてお伝えしたい。
つづく