第5回 : ビジネスを進化させるためのIT(1/3)
2001年7月吉日
Quote: "We live in an information society in which computers are the fundamental capital. Computers are absolutely essential to our competitive edge in the world." ESTHER DYSON (Editor and publisher of Release 1.0, a newsletter that analyzes the computer industry in 1995.)
今回は、前号でお約束した「危機管理対策機構主催のセミナー」の内容をお伝えしたい。
このセミナーの冒頭では、以下のセミナー概要にある30代アメリカ合衆国大統領の「Calvin Coolidge」をキーワードとして、インターネットの検索エンジン"Yahoo"での検索結果をまず紹介した。
(query_Calvin coolidge.html参照)
・セミナー概要
国を上げてのIT(情報通信技術)革命が進行しているという。 我々は、その意味を的確に理解し、取り組んでいるだろうか?
The
business of America is
business.
(アメリカの本務はビジネスだ!)
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Calvin Coolidge (30th U.S. President,
1872-1933)
に代表される「彼らのビジネス」に対抗すべき我々の戦略、 戦術、業務遂行について考える!
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そして、このNecture.co.jpで連載している「忍のITコラム」をキーワードとした検索結果
(query_Shinobu's ITColumn.html参照)を表示して、
次に「忍の東京見聞録」をキーワードとした以下の検索結果を紹介した。
(query_tokyoessay.html参照)
この検索結果を紹介した目的は、何万とあるインターネットのWebサーバの中から自分のコンテンツを検索してもらうためには、その検索エンジンへの"キーワード登録作業"に多大な努力がいる。
それは皆さんが行っている日常のビジネスと同様、皆さんの会社、製品およびサービス等(ビジネス)を、それを必要としている方々に知ってもらうという"継続的な努力"が必要であることを理解して頂くためであった。
余談であるが、これからのインターネットビジネスの潮流については、今年の4月に発売された雑誌「e-ビジネスは第2章へ:日経BPムック」が参考になると思う。
この雑誌には、2000年12月12日にニューヨークで開催された「e-business Conference Expo」でのガースナーIBM会長兼CEOの講演内容もあるので、是非、一読されることをお奨めしたい。
私のイメージで申し訳ないが、右のような広告写真がわかりやすいと思う。
2000年までの新興企業によるスモール「e-ビジネス」の時代から、21世紀の幕開けとともに大企業も参入したラージ「E-ビジネス」の時代が始まったといえる。
この潮流は、かなり水面下で着々と進められている感がある。
IBMのインターネットビジネスに対するマーケティングの一環としてのテレビ広告は、数年前から始まった。
最初のCMは、一人の社員が説明する「インターネットビジネス」について唖然とする役員会の光景に続いて「よし、やってみようじゃないか!」という社長の一言であったと思う。
本題のセミナーの紹介に戻る。
このセミナーを聞かれた聴講者のお一人である「社団法人 全国ビルメンテナンス協会」(https://www.j-bma.or.jp)広報調査部 課長 永山博規様から、後日、このセミナーに関する原稿を依頼され、その内容を纏めた記事が、この協会が発行する"ビルメンテナンス8月号"に掲載されたので、この記事の内容をこれから3回に分けて紹介したい。
ビジネスを進化させるためのIT(1/3)
冒頭に掲げた第30代アメリカ大統領"Calvin Coolidge"の 言葉にあるように、彼らは1900年初頭から既にビジネスで世界をリードするべく準備を重ねてきている。
彼らのビジネス論については、別の機会に考えることにして、彼らがビジネスに使おうとしているITとは何かを知ることは大変重要なことだと私は考える。
ここでは、ITの基本を紹介したい。
そして、それを戦略的に使う(言わば、攻めのIT)の一例としてのCRMを解説したい。
IT(情報技術)とは…
4,5年前までは、企業経営における資源といえば、「人・物・金」と答える方が大半だったと記憶している。
昨今は、これに4つ目の資源である「情報」が当然のごとく語られ、この情報資源を活用することが企業の優劣を決するといっても過言では無くなってきている。(図1参照:PDFはここをクリックして下さい)
では、この情報とは何なのか?
私がこの業界に入ってまもなく、さる経営コンサルタントから情報とは「なさけのしらせ」、「なさけにむくいる」という表現をお聞きしたことがある。その方は「経営者があーよかった、これが知りたかったというものが、情報なのですよ!」と教えてくれた。
本当にこれでいいのだろうか?と、その禅問答的な回答に対してすっきりしないまま思い続けてきた私は、2年前に知ったカナダ、ブリティッシュコロンビア州立大学のインターネット授業を受けて、自分の考え方をかなり整理することができた。
ここで、その一部について英文を交えて紹介したい。
北米の大学一年生が勉強する「Introduction to Information Technology」では、広義の意味において「情報」を以下の1行で説明している。
In the broadest sense, information is data that has a context.
この文章の最後にあるコンテキストとは、周囲の状況や時間の経過等、その意味を明確化できる状態、あるいは関連した出来事を意味している。
データにコンテキストを持ったものが情報である。
なんと分かり易い表現ではないか?
誤解がないように一言言わせて頂くが、「米国は低コンテキストの労働文化であり、取引は当事者たちが電子メール、手紙、電話、その他のコミュニケーション手段を通じて明示したことに基づいて行われる。
一方、ヨーロッパやアジアの文化の多くはそれとは対照的に高コンテキストの文化であり、暗示されているものも同じく重要である」という馬越恵美子氏(NHKやさしいビジネス英語、土曜サロン)の分析にあるように、私は高コンテキスト文化を持った日本人の一人であることを誇りに思っている。
本題に戻るが、北米の大学生が勉強するIT初級テキストでは、情報システムとは、データを扱い、保存して、それを処理し、アウトプットとして情報を提供するシステムであると述べた後で、このシステムに関して私達が身近になればなるほど、我々の考え方を創造的にしてくれる利点に気付くだろう、と説明している。
さらに、日本では既に過去のもののように扱われているMIS(経営情報システム)を次のように説明している。
MIS refers to a system that gathers, condenses, and filters data until they become information, and then makes it available on time, and in a useful forms, for use in decision making at various levels of management within an organization.
このMISとは、データが情報となるまで、そのデータを集め、要約し、フィルタリングして、組織の様々なレベルで意思決定をするために、その情報を欲しい時に、役に立つ形式で提供する仕組みであると述べた後で、ITについて以下のように言及している。
ITとは組織の生産性を高め、ビジネスをより効果的に、効率よく実現させために使われるコンピュータ、コミュニケーションハードウェア、システムおよびアプリケーションソフトウェアの総称なのである!
つづく